平成27年12月1日号
第420号
伸銅品の生産量の前年割れが8ヶ月続いています。景気がパッとしない証です。
2012年12月安倍内閣がスタートしアベノミクス3本の矢が放たれました。即ち①大胆な金融政策②機動的な財政政策③投資を喚起する成長戦略の3本です。このうち①の金融政策は日銀が協力し株価が2倍超になり、企業の業績も回復、成果を挙げました。しかし②や③は具体的な成果がまだ見えてきません。円安が輸出増に、企業業績拡大が設備投資増に、雇用増が消費増に、という好循環がはっきり見えてきません。そこで、新3本の矢が追加発表されました。①希望を生み出す強い経済 GDP600兆円 ②夢を紡ぐ子育て支援 出生率1.8 ③安心に繋がる社会保障介護離職ゼロの3本です。方向性を示すことは大切なことで評価できますが具体策が問われます。
ご高承のとおり日本の人口は減り、老齢化が進み、一極集中が地方の過疎化を呼び、地方の県庁所在地ですらさびれてきています。関西の地盤低下も企業の東京への本社移転によるところが大きく、子供が東京で働き年金暮らしの親だけが関西にいる。過密のため地価は高く住宅は関西の3~4倍、仕事の場が有れば少々収入が少なくても中身の濃い生活が出来るのですが、若者は東京を目指します。日本がこのような姿、形になったのは積年の行政政策に因ると思います。官僚行政の範囲を広げ民間に干渉、行政との関わりを蜜に取らねば不利を蒙るを免れるため、それだけではなく他企業との情報や折衝の便宜のよさもあって銀行商社のみならず大企業が東京へ引っ越す集中が集中をよぶ状態になりました。新3本の矢を実現させるにはこの一極集中の弊害を取り除かねばどうにもならないのです。それには香港が政策として推進成功した租税政策に学び、地方へ本社機能を移転する企業の法人税を減税する。関東以外の県に移転する企業が増えれば、地方に雇用が増え3世代同居の家庭は子育てや老人介護など新3本の矢の②や③の実現にも繋がります。安倍内閣に是非やっていただければと願うのですが改革にはなんでも反対の官僚が邪魔をして日の目を見そうにない夢のまた夢のはなしです。
いよいよ、本年も残りひと月になりました。何事もなく無事皆様が新年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます。本年賜りましたご愛顧に心より感謝申し上げますとともに、併せて明年も変わらぬご鞭撻とご指導を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。誠にありがとうございました。
平成27年11月2日号
第419号
10月は厚くなく寒くもない好季節ですが、今年は殊のほか好天に恵まれ有り難い事でした。朝夕と日中の気温の差が大きくなり、イチョウの葉も黄色く染まり、はぜやもみじの紅葉も日を追うごとに深まってきます。北陸や山陰では弁当忘れても傘忘れるなと言われる時雨の季節で、冬を迎える支度が始まります。11月15日は七五三のお参りをする日ですが、最近は10月中旬から土日のお宮さんはお参りする家族で賑わいます。時雨やすい時候を避けて晴れ着を濡らす心配のない秋晴れの日にする方が増えているのですね。
11月6日から越前ガニが解禁になります。大好物で喉から手が出ています。冷えた夜には鍋料理もいいですね。ふぐチリ、寄せ鍋、うどんすき、想っただけで体が温まってきます。
一方、自分が当事者だったらと思うと、ぞーっとするマンション杭工事偽装問題、ここのところフォルクスワーゲン社、東芝、東洋ゴムなど偽装や隠蔽の続出です。うそも方便と言うことがありますが騙しはいけません。社会的制裁を負うことになるでしょう。
平成27年10月1日号
第418号
早1年の4分の3が過ぎ、本年も3ヶ月を残すのみとなりました。9月前半は秋雨前線が停滞し、特に北関東から東北にかけては記録的な降水で河川が氾濫し1万戸を超える家屋が浸水の被害を蒙りました。災害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。後半は好天に恵まれ、シルバーウイークは連日秋晴れを満喫できました。
ポツダム宣言をご存知でしょうか。第2次世界大戦ドイツが壊滅し日本が本土空襲を連日受けていたころ、米中英の3カ国が日本に降伏を勧告する会談をおこないました。後でロシアが入り漁夫の利を掠め取り、樺太はおろか千島列島まで我が物としいまだに返却する気がないことはご承知のところです。領土拡大に対する執着心の強さは中国も劣りません。尖閣列島、東南アジア諸島の埋め立て、力でゴリ押ししています。
習近平主席とオバマ大統領の会談は対立する問題に歩み寄りはなく、大国同士が体面を保ち背を向け合った観がいたします。中国の国力がアメリカのそれに前よりはるかに近くなったことを映しているともいえます。日本が同盟国として憲法を無視し集団的自衛権の拡大解釈法案で米国の意に添う姿とは違います。
中国の世界経済に占める比重が高まり、その動向が世界経済に大きな影響を及ぼす事が明らかになってきました。中国の影響を受け世界経済は当分沈静化を免れず、口先だけで具体案が見えてこない安倍内閣の成長戦略もあてになりません。
平成27年9月1日号
第417号
処暑の候になり暑さが和らいできました。朝の風や、夜の虫の声に秋の気配が漂い始めます。今年の夏は残暑の厳しさがなかったせいか、短く感じました。
中国上海市場が大暴落し、世界諸国の株式市場が震撼しました。世界第2位の経済大国になった中国の影響は大きく、これからの動向に目が離せません。政治は共産党一党支配、経済は人間の利己心発揚を経済発展の原動力とする市場経済主義、この両輪は広大な国土と人口パワーがあいまって、世界が瞠目する発展をなしました。いまや、中国が風邪を引けば世界中がくしゃみをするようになり、石油や銅、大豆など多岐にわたり価格が下がっているのも影響力の一例です。一方、国内では腐敗分子の摘発に見られる権力闘争、之に関連していると噂される天津の危険物倉庫の大爆発など問題続発、外交では威圧的な領土拡大行為を見せるなど、いろいろ激しいことが多く、わが国に大変近い国ゆえ穏やかであってほしいと願うのです。
平成27年8月3日号
第416号
暑中お見舞い申し上げます
気象庁の予測によれば今夏の平均気温は平年を上回るらしく、皆様には無事猛暑を乗り切ってくださるようご自愛をお祈り申します。今年もまもなく甲子園球場で全国高校野球大会が始まりますが、今年は大正4年豊中球場で開かれた第1回大会から100年の記念すべき年に当たり、改めてその歴史の重みに深い感慨を覚えます。鍛えられた球児が繰り広げる熱戦がまた新たな感動を与えてくれることでしょう。
マイナンバー制度が来年から始まります。徴税の不公平をなくし徴税を強化する目的ですが、ポケットに手を突っ込まれる程度では済まず、素っ裸にされてしまう様な感じです。名寄せ作業の手間が省け浮いてくる2千人の職員を税金滞納の対策に振り向け2400億円の税収増加が見込めるそうです。膨大なシステムと人員で臨むこの制度は行政改革にも活用できるのですが、之には諸官庁が挙って反対運動をしているのが実情だそうです。ともあれ、この制度がスタートすれば、国民の懐は国がしっかり把握できることになり,国は累積した膨大な借金を減らす手段が打ちやすくなります。戦後、戦中の国費をまかなうため発行した国債を預金封鎖と財産税の徴収、それに伴うハイパーインフレで償却した実績があります。ギリシャを上回る膨大な債務は減るどころか、いまも膨らみ続けているのです。必ず来るであろう国の財政破綻は国民が受け入れ、立ち向かうよりないことですが、厳しい現実に直面する日など永遠に来ないでほしいものです。
平成27年7月1日号
第415号
この梅雨空のように景況感はもひとつでパッとしません。特に住宅建築は振るわず、動きが悪いようです。これは当然といえることで今更どうのこうのという話ではないのですが、ここが悪いと影響の及ぶ範囲が広いので困ります。
ユーロではギリシャ問題が再燃しています。魁ニュースでも平成24年4月7月に関連記事を掲載したが、厄介な問題でこれの解決にはユーロ加盟国が利他の精神で一致しなければどうにもならないのではなかろうかと思います。国家財政においてギリシャを超える赤字を抱える日本は、これを他山の石として、税収に見合った財政運営を行い、国債発行残高を減らすように努力しなければならないのだが、現実はこれが年々増えるばかりであります。ギリシャ問題を対岸の火事とのんきにかまえてはおれません。いつの日か、われわれが銀行の窓口に並び預金をおろしハイパーインフレにおののくことになるやもしれないのです。
今年は高校野球全国大会が始まって100年目を迎えるそうで地区予選も始まりました。今月は全国で球児の熱戦が繰り広げられます。今年の春は思いもかけぬ結果に大喜びしましたが、プロ野球でもひそかに願っていることがあります。
平成27年6月1日号
第414号
樹木の緑が一段濃くなってきました。木陰を求めて歩くほどに、日差しが強く、真夏日が多い5月でした。梅雨の季節になりますが、雨ならぬ灰が口永良部島に降り続けています。一昨日はマグニチュード8,5の地震がありました。震源地が深度590km深く大きな地震だったため北は北海道から九州まで全国47都道府県が震度1以上を記録するという前代未聞の揺れがありました。ネパールでも多くの人がなくなる大地震があり、いつ何が起きるかわからない不安を覚えます。まさかと思わず慌てふためかないように非常の備えを点検しておきましょう。
前月17日大阪市で住民投票がありました。府市を統合し大阪都に、大阪市は5区に統合する行政改革に対し民意を問うものでした。結果は賛否がほぼ拮抗しわずかに反対票が多く都構想は否認されました。老齢化のみが原因でないが税収が減り行政の収支が破綻しているのは国も自治体も同じで、家計と同じように収入が減れば支出も減らさないと借金が増え破綻します。改革は苦痛が伴い抵抗が強いのも当然ですが、民主主義は独裁と違い、安全無難にながれるのが弱点です。改革は時間がかかり、当初は金もかかり、犠牲も避けられない。住民投票の結果が出て、記者会見に臨んだ橋下市長が(民主主義は素晴らしい)と言った事を私は強烈なアイロニーと受け止めました。望むらくは行政の合理化が府と市の協議で少しでも前進する姿を見せてほしいものです。
平成27年5月7日号
第413号
5月5日は端午の節句。鯉のぼりの風習は江戸時代からのことと聞く。滝をのぼって龍になるという鯉の滝登りの逸話にちなんで、男の子の立身出世を願う武士の家々で鯉のぼりをあげる習わしが広まっていったそうです。このごろは、川などにロープを張り、沢山の鯉のぼりを風に泳がせる祭りが広まり、四万十川などこの季節の風物詩に定着しているところが全国に沢山あります。
菖蒲湯や柏餅も節句の風物詩。菖蒲は葉が香りたち、茎は保温効果や血行促進になります。お湯をはるときから両方を束ねていれておき、それで肩や腕、胸を叩くと気持ちが良いものです。柏は新芽が出るまで葉が落ちないことから家系が絶えない縁起物とされたそうです。
第2日曜日は『母の日』。お母さんありがとう。日ごろの労苦に思いをはせ感謝の気持ちを伝えましょう。
ユネスコの諮問機関IKOMOSが『明治日本の産業革命遺産』を世界文化遺産として登録することを勧告という嬉しいニュースがありました。その一つに松下村塾があります。思想家、教育者松陰の薫陶を受けた若者が日本の近代化の原動力になり、明治維新やこれら文化遺産の誕生につながっていることに感動を覚えます。折しもNHKの大河ドラマ『花燃ゆ』のこれまでは松下村塾が舞台で、これからの展開が楽しみです。
今までに登録されている自然遺産4つと文化遺産14は下記のとおりです。(順不同)
① 知床、②白神山地、③屋久島、④小笠原諸島
①法隆寺地域の仏教建造物、②古都京都の文化財、③古都奈良の文化財、④姫路城、⑤平泉の文化遺産、⑥厳島神社、⑦日光の社寺、⑧琉球王国のグスクおよび関連遺産群、⑨原爆ドーム、⑩白川郷五箇山の合掌造り集落、⑪熊野古道、⑫石見銀山遺跡とその文化的景観、⑬富岡製糸場と絹産業遺産群、⑭富士山
平成27年4月1日号
第412号
桜が咲き、選抜高校野球大会が始まり、プロ野球もセパ同時に開幕しました。草木も一雨ごとに芽吹き、やがて色とりどりの新芽が野山を飾ってくれます。花冷えの日も有りますが、スミレや蓮華の花が咲く頃になると私たちも冬から春への衣替え、少しからだが軽くなるような気がします。
今年は高校野球大会が始まって100年という記念すべき年に、どちらが優勝しても初優勝という決勝戦になり、敦賀気比高校の応援にテレビに釘付け、熱戦に興奮し最後は思わず万歳しました。大会史上初の北陸勢の優勝、2打席連続の満塁ホームラン、そしてその選手の試合を決めた決勝での2ランホームラン、奇跡としか言いようのないことばかりでした。100年に及ぶ大会には、記憶に残る数々のドラマがありますが、これからも色んなドラマが紡がれていくのだと思います。
準決勝の組み合わせを見て、決勝は大阪桐蔭と埼玉浦和だろうと予想しましたが完璧にはずれました。勝手に決め込んではだめですね。何が起こるかわからない、最後まで諦めない、勉強になります。
平成27年3月2日号
第411号
私どもの会社は東大阪にあり、東2キロほどのところに生駒山があり、窓から良く見えます。雨上がりの晴れた日などは、手が届くほど近くに見えます。今頃は春霞がたなびき、かすんで見える日があり、時には黄砂が飛んできて視界をさえぎり、まったく見えなくなる日もあります。生駒山は標高642mの低い山ですが大阪と奈良県の境にあり、奈良県が気温も3度前後低く大気の汚れもましに思えるのはこの生駒山のせいだと思われます。2月は1月より暖かく雨も良く降りましたが、それでも朝夕の冷え込みは厳しく、その中で奈良東大寺では修二会(しゅにえ)の行が始まり15日クライマックスのお水取りが行われます。関西では昔からお水取りが済むまで春はけえへんと言われて来てますが、待ち焦がれた春本番ももうしばらくです。やわらぐ陽光の下、草木が芽吹きだします。百花の魁といわれる梅が咲き、これからは次から次へと冬の間に蓄えていたいのちの息吹がひらきます。私たちの商売にも暖かい春風が吹いてきて欲しいですね。
若い人たちは卒業式や進学、就職など大きな節目を迎えるときです。目標を見失わず前途洋々の世界を掴み取って欲しいと願うばかりです。
平成27年2月2日号
第410号
1日、フリージャーナリスト後藤氏がイスラム国に拉致され殺害されたニュースがありました。イスラム国空爆などのニュースは知っていましたが、日本には関係がないことと無関心でした。イスラム国って何なんだ?イスラム教のスンニ派の過激派組織でIslamic Stateと称し、アブ,バクル,バグダディを最高指導者として、イラク北部からシリア東部にかけての一帯を支配して、石油の密輸で資金を稼ぎ、インターネットで世界から戦闘員を集め、残虐なテロで市民を支配統制し、一方貧民に施しをするなど、硬軟織り交ぜ勢力の拡大を図っている集団?のようです
イラクの歴史を紐解くと、イラクは英国が統治していた時代が長く、1927年大油田が発見され1932年英国の後見の下イラク王国が誕生、その後いくつかの変遷を経て、1958年共和制になり1979年フセイン大統領が政権を握ります。石油利権をめぐる米英の石油資本とイラク経済の角逐が徐々に高まり相互不信を呼び2003年イラク戦争が始まります。結果は皆様ご存知のとおりフセイン政権は倒れますが、アメリカが戦争の大義名分とした大量破壊兵器は見つからず、イラク国民の不信と不満で国内の統治は混沌となり、米軍が完全撤退できたのは2011年です。米軍の撤退後もイラクでは内戦が続いている状態で、統治が行き届かず、それがイスラム国の存在に見えてきているのです。このような背景を考えれば、ただ彼らを敵視しても問題は解決しないと思えてくるのです。
平成27年1月5日号
第409号
明けましておめでとうございます
皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。旧年中は格別のご愛顧を賜り誠にありがとうございました。本年も倍旧のお引き立てを賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
さて、戦後70年、終戦の年に生まれた人も今年で満70歳になります。中には曾孫がいる方もあり、戦後が遠くなってきました。廃墟から立ち上がり、朝鮮特需をきっかけに工業生産力も復興していき、所得倍増を標榜する政策の下、経済は高成長をつげ、貿易摩擦を起こすまでに伸び続けました。お蔭で生活は豊かになり、総中流を実感するような生活水準になり、プラザ合意後の円高は360円から240円そして80円まで進みます。円高による様々な影響はさておき、多くの人が海外旅行を楽しめるようになりました。敗戦直後の暮らしと比べると月とスッポンとはまさしくこのことです。
確かに豊かにはなりましたが、果たしてこれからの日本はどうなるのでしょうか。それを考えるとき世界はどうなっていくかに思いが行きます。世界が全て平和に満ち満ちていれば良いのですが、現実は厳しく、民族、宗教、貧困など様々な紛争の種が、世界のあちこちで絶えることなく続いています。日本も近隣国と島嶼をめぐる緊張があり円満な関係とはいえません。しかし、世界中の中で日本は恵まれた国のひとつであります。私たちの祖先が紡いできた文化や伝統が、世界の多くの人々から賞賛されています。私たちはその国に住むことを誇りとし、感謝すべきです。その上に立ち、どうすれば世界に貢献できるか考えねばならないと思います。
今年も色んな災害が私たちに試練を与えるでしょうが、それを乗り越え明日へ向かって力強く進んでゆきましょう。