令和4年12月1日号
第504号
今年もはや師走に入りました。今年はロシアに翻弄された一年でした。
2月にウクライナに侵攻してから、世界中に混乱をもたらしました。物流の停滞や欧米によるロシアに対する経済制裁などにより、天然ガスなどの資源や小麦などの食糧の価格が高騰し、欧米などがインフレに見舞われました。また、力による現状変更が許されるなら、中国も同様のことをしかねないとの懸念からアジア地域でも軍事的緊張が高まりつつあるとマスコミは報道しています。我が国でも防衛予算を大幅に増額して防衛力を高めるべしとの政府の方針が示されています。
そこで思うのは、その増額分で我が国の民間企業にもあくまで防衛用として戦闘機や長距離ミサイルを国の協力のもとで開発・製造してもらえば、日本の製造業の技術が活かせますし、少しは経済成長につながるのではないでしょうか。
さて、巷では円の実質実効為替レートすなわち円の実力が50年ぶりの低水準になっていると騒がれています。50年前というと1ドルが300円以上していましたが、当時と同じ位に日本の財やサービスが割安になっているということです。コロナが落ち着けば、インバウンド消費が爆発的に増えるでしょう。
最後になりましたが、この一年皆様から一方ならぬご愛顧を賜り誠にありがとうございました。よき新春をお迎えくださいますよう心よりお祈り申し上げます。
令和4年11月1日号
第503号
すっかり秋も深まり、朝晩は暖房をつけたくなるようになってまいりました。今月中旬から下旬には各地で紅葉の見頃を迎え行楽客で賑わうことでしょう。つくづく四季のある日本に生まれて良かったと思います。
景気の方はもう一つパッとしませんが、若い人の活躍は私たちに夢と希望を与えてくれます。先日、日本シリーズが終わったプロ野球でも、ヤクルトの村上宗隆選手が最年少で三冠王を達成し、他にも二十歳そこそこの選手が何人も活躍していますし、ゴルフでは21才の蟬川泰果(せみかわ たいが)選手がアマチュアで初めてプロのトーナメントで2勝し、そのうちの1つは日本オープンで95年ぶりのアマチュア優勝を果たしました。二十歳になったばかりの将棋の藤井聡太さんは既にタイトル五冠で八冠制覇も時間の問題と思われます。
立法、司法、行政、経済、学問などの分野でも、優れた若い人に活躍してもらうことが、我が国の発展に繋がると考えます。出る杭は打たれるよりは、出る杭は引き上げる方が国にとってプラスになるのではないでしょうか。
令和4年10月3日号
第502号
先月も例年同様、台風による豪雨や暴風が広範囲にわたって被害をもたらしました。特に台風14号は東の海上から西に行くに従って中心気圧を下げて強力になっていきました。以前は日本列島に近づくにつれて海水で冷やされて弱まっていた台風ですが、近年は海水温度
が高いので逆に強まることがあります。被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
今月11日からようやく、外国人観光客の人数制限が撤廃されます。短期滞在ならビザも不要になり、コロナワクチン接種証明の呈示を求めるなどの他は、コロナ禍以前の状態にほぼ戻ります。
また、同じく11日から全国旅行割(全国旅行支援)が始まります。海外からの旅行者に加えて国内を巡る人も増えて、観光、輸送などの業界は久しぶりに忙しくなりそうです。
ところで円安はさらに進み145円台をつけ、政府・日銀は先月24日、24年ぶりに為替介入を実施しました。円買い介入に使う外貨準備高が限られているので、効果は限定的という見方があります。外国人観光客が増え、製造業の国内回帰が進むという点では円安は好ましいですが、どの辺りに落ち着くのでしょうか。
令和4年9月1日号
第501号
残暑お見舞い申し上げます。ようやく朝晩が過ごしやすくなってきましたが、まだまだ日中は高温多湿が続きますので、皆様体調を崩さないようにお気をつけ下さい。
巷では、しばしば食糧などの生活必需品の値上げラッシュが報じられています。長期間デフレが続いてきた我が国にとって、ある程度物価が上昇することは必要であると考えますが、頭の痛いところです。物が売れなくなると困りますから社員様の所得を、インフレ率を上回るように向上させたいところですが、実現するのは容易ではありません。
さて、我が国の製造業を取り巻く環境も大きく変わってきています。例えば、自動車製造業ですが、ジャストインタイムのカンバン方式で部品在庫をほとんど持たずに製造出来ていたのが、半導体を初め、部品が納期通りに入荷しないことが増えてきました。その結果、一部の車種では納期が長くなり、中古車の価格が新車を上回ることもあるようです。
川上の素材製造業の各社は基本的に在庫を持ってくれません。エンドユーザーも然りです。エンドユーザーに部品のカンバン納入を求められる協力業者も場所や資金の制約があって在庫を持つにしてもごく限られた量しか持てないでしょう。また、仕入先が様々な理由で事業を停止されることもあります。
あらゆるものを安定的に調達するということが、今後次第に簡単ではなくなっていくことを想定しておいた方がよいかもしれません。
令和4年8月1日号
第500号
猛暑が続きますが、皆様体調はいかがですか。
各地で豪雨災害が発生しており、被害に遭われた方々に御見舞い申し上げます。限られたエリアに集中的に大量に降るという降り方は、0か1で中間の程々がないデジタルを連想させます。気候もDX化でしょうか。
先月8日の白昼、安倍晋三元首相が銃撃され、この世を去られました。我が国にとって、安全保障がこれから大変になり、外交が難しくなるであろうという局面でのこの事件は、大変痛いことであります。長年にわたるご活躍に感謝し、ご冥福をお祈りします。
24日には桜島が噴火し、1946年以来となる溶岩流出も起きました。大正時代の噴火で桜島は大隅半島とつながりましたが、地図を眺めると遠い未来に反対側の薩摩半島とつながることもあるかも知れないと思います。
新型コロナウイルスの日々の感染者数は過去最高を更新し続けていますが、重症者数や犠牲者数は感染者数に比例しては増えていません。感染対策をして行動制限を最低限に抑えて経済を回していくという国の方針は間違っていないでしょう。
令和4年7月1日号
第499号
先月下旬群馬県伊勢崎市で40.2℃を観測、6月に国内で40℃を超えるのは観測史上初めてとのことです。また、東京都心でも連日猛暑日となり、関東甲信の史上最速の梅雨明けも発表されました。
また、経済産業省は先月下旬、東京電力管内で電力需給が厳しくなる見通しとなったことから、初めての需給逼迫注意報を発令しました。猛暑で電力需要が高まる一方で一部の火力 発電所の故障などで供給が減少しているためです。
地球温暖化はじわじわと進んでいます。この問題は小欄で何度か取り上げていますが、人間自体が有機化合物である以上、生きていくだけで炭素が発生しますし、完全な脱炭素というのは無理があると考えます。
国際エネルギー機関(IEA)が公表しているデータによると2019年時点で我が国では電力の割合が火力が約4分の3を占めていて、世界全体でも火力の割合が3分の2ほどあるとのことです。今後も世界中の人々の消費する電力はトータルではなかなか減らないでしょうから、発電によるCO2などの温暖化ガスの排出を減らすのは、火力発電の比率削減や火力発電そのものの効率化に取組んでいかないと難しいでしょう。
令和4年6月1日号
第498号
今年もじめじめとした不快な季節がやって来ます。
皆様体調管理にお気を付け下さい。
今月10日から約2年ぶりに我が国でも米国や中国など98ヵ国・地域からの外国人観光客を受け入れることが政府から発表されました。しばらくは添乗員が同行する団体旅行に限定されますが、年間4,000万人の観光客入国を目指し再出発です。先月、世界経済フォーラムは観光地としての競争力で日本を世界一に選びました。交通インフラの利便性や、自然や文化など観光資源の豊かさ、それに治安のよさなどが高く評価されました。最近の円安で日本への旅行はさらにお得感が増しています。
ところで、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種が国内の6割近くの人に行き渡り、日々の新規感染者も犠牲者の数も落ち着いてきています。気を緩めず、日々の感染対策、健康管理を続けてまいりたいと思います。
それにしても国連安全保障理事会に代わって全世界を上手くまとめて行く仕組みは出来ないものでしょうか。常任理事国の拒否権行使で何も決議出来ないのでは時間と労力の無駄です。
令和4年5月9日号
第497号
風薫る新緑の季節となりました。
新緑を眺めていると、社会人になりたての頃を思い出し、いつまでも初心を忘れないでおこうという気持ちになります。
ロシアのウクライナ侵略が長期化しつつありますが、北欧のスウェーデンとフィンランドがNATO加盟申請を今月にも正式表明かという報道が先月ありました。NATO拡大阻止を狙ったロシアの行動がかえって拡大を誘発するということになるかもしれません。
我が国もロシアの隣国であり、近隣には他にもルールや約束を守らない国がいくつかありますから、今後安全保障をどうしていくのかよく考えるべき時期に来ていると言えましょう。
ところで、円安が急速に進んでおり、20年ぶりに1ドル130円を突破しました。このところ有事の円買いとはならず、日米などの金利差拡大を受けて円が売られているようです。為替の世界は専門家でも先が分かりませんが素人ながら私見を述べますと、円は過小評価されていると考えます。外国人から見て日本のものが安すぎると思われるからです。
令和4年4月1日号
第496号
梅や桜も咲いて暖かくなってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしですか。
コロナウイルスの第6波の感染者数はピークは過ぎたと思われますが減少スピードが遅く、左右対称のグラフにはなっていません。オミクロン株の新種が広がってきているようです。ワクチンの第3回接種が進んでおり、国内の約4割の人が済ませていますので、いずれ落ち着いてくると期待したいところです。
さて、食料品や消耗品などの日用品の価格が上がって来ています。世界的なカネ余り、物流の停滞、原油価格の上昇、ロシアのウクライナ侵攻、さらには円安などが影響しています。国内企業物価指数は昨年春頃から急激に上昇し、今年2月には前年比+9.3%( 出所:日本銀行調査統計局 )となり41年ぶりの水準となりました。この間消費者物価指数は対前年比-0.4%~+0.9%( 出所:総務省統計局 )で推移し、直近1年ほどは企業努力で値上げを抑えてきました。ただ、我慢にも限界がありますのでこれから消費者物価がさらに上昇していき、日銀の物価上昇率2%の目標が達成される日も来るかもしれません。そうなると日銀の金融政策のさじ加減が難しくなってきます。欧米のようなハイペースのインフレを招かず、適度なインフレに抑えるのは並大抵のことではないからです。
令和4年3月1日号
第495号
先月は北海道、東北、北陸、北近畿などで記録的大雪となり、新千歳空港で全便欠航になるなど交通に乱れが発生しました。地球温暖化が進むにつれて海面などからの水蒸気の発生が激しくなり、雨も雪も短時間に集中的に降るようになっていくように思われます。
冬季オリンピックが終わりました。日本は前回の平昌大会を上回る過去最多のメダルを獲得しましたが、審判の不公平な判定が続出し、折角の平和の祭典が後味の悪いものになってしまいました。
オリンピックが終わるやいなや、ロシアがウクライナ侵攻を開始しました。約30年前のソビエト連邦の崩壊時にロシア連邦はソ連時代と比べて面積が約4分の3になってしまい、さらNATO(北大西洋条約機構)の加盟国が次第に増えて、近くに迫ってきている状況で、隣国のウクライナがNATOに加盟することは避けたいのでしょう。地球儀をご覧になるとよく判りますが、ウクライナは東西に長く東半分はロシア側に張り出しており、加えて東端はモスクワよりも東側に位置しているのでロシアの気に触るのでしょう。
ただ、力による現状変更はルール違反であり、短期的に利益を得たと思えても中長期的には各国から経済制裁を受け人も資本も引き揚げていき、大打撃を受けることになるでしょう。現状でも面積では2位以下を圧倒的に引き離し1位であり、天然資源も豊富な国なのに勿体無いことです。
令和4年2月1日号
第494号
厳しい寒さが続きますが、皆様いかがお過ごしですか。
コロナウイルスオミクロン株は猛威を奮い、日本国内の日々の感染者数も急激に増加しています。これが第6波とされていますが、これまでの波と同様にほぼ左右対称の曲線を描き、ピークをつけた後急激に減少していくことを期待します。幸い毒性が強くないので、過度に畏れず、粛々と感染予防対策を続けていきたいものです。
ところで、ウクライナ情勢が緊迫して来ています。ロシアとしてはNATOの勢力が拡大してきたことが面白くないのでしょう。ドイツやフランスなどと話し合って穏便に解決されることを祈ります。
さて、まもなく冬のオリンピックが北京で始まります。我が国からはスキージャンプ、フィギュアスケート、スピードスケート、モーグルなどの競技に数々のメダル候補が参加します。暫くはむずかしいことは忘れてゆっくりと鑑賞いたしましょう。
令和4年1月5日号
第493号
新年明けましておめでとうございます。旧年中は一方ならぬご厚情を賜り誠に有難うございました。本年も何卒倍旧のご指導とご鞭撻を賜りますよう謹んでお願い致します。
最近よく目にするアルファベットの略語にSDGsがあります。読者の皆様はご存じでしょうが、「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な開発目標と訳されます。
貧困、気候変動、環境破壊、戦争・紛争、差別など、世界は多くの課題を抱えており、それらを乗り越えるため、2015年に国連サミットで採択され、2030年までに達成を目指す17の目標、169のターゲットから構成されています。
日本が掲げる2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという目標と同じくらい難しい目標が並んでいますが、達成出来るかどうかはともかく目標を掲げてそこに向かって努力して行こうという姿勢は大切です。
新型コロナウイルスですが、約2年の間に世界の約4%の人が感染し、そのうち約2%の人が犠牲になりました。日々の感染者数(直近7日間平均)は波があるものの上昇傾向にあり直近では過去最高を更新しています。一方で日々の犠牲者数は2021年初めに約1万5千人のピークをつけた後はアップダウンを繰り返しながら減少しており、直近では7千人ほどになっています。これらのことからこのウイルスは、感染力は強くなりながら弱毒化が進んでいる可能性があると考えます。
感染予防をした上で、最も重要なのは規則正しい生活と体調管理を通してあらゆる病原体に対する抵抗力が弱まらないようにすることでしょう。
最後になりましたが、皆様の益々のご繁栄とご健勝を祈念して新年のご挨拶とさせていただきます。